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医療保険なしで乳がんに|国保のみで治療した私の後悔と、結果75万円で済んだ理由

yatagarasu

「医療保険、入っておけばよかった…」

乳がんの告知を受けた瞬間、頭をよぎったのはこの言葉でした。

私はパートで働く52歳の主婦で、告知の半年前に医療保険を解約していました。理由は、中学3年生の息子の高校受験を支えるため。月々の保険料を息子の受験費用に回したくて、家計簿を見ながら自分で決めた選択でした。

「自分ががんになるなんて」と思っていなかったんです。でも実際になってしまって、最初の数日は本当に頭が真っ白で、夜も眠れませんでした。

この記事では、

  • 医療保険なしで乳がん治療に入った2年半の家計の話
  • 実際にかかった医療費の総額と内訳
  • 収入が止まった時期の本音
  • 「もう一度選べるなら、保険に入っておきたいか?」という問いへの私の答え

を、隠さずに書いてみます。同じ立場で不安な夜を過ごしている方や、これから医療保険を考えている方に、何か届くものがあれば嬉しいです。


医療保険に入っていなかった理由

正直に書くと、理由は2つです。

① 子どもの教育費にお金を回したくて、医療保険を解約した

実は、もともと医療保険には入っていたんです。

解約したのは、乳がんの告知を受けるちょうど半年前でした。中学3年生の息子の高校受験が目の前に迫っていて、塾代や受験費用、入学後の制服や教材費を考えると、家計のあちこちを見直さなきゃいけない時期だったんです。

家計簿とにらめっこしながら、「自分の医療保険を解約すれば、その分を息子の受験に回せる」と考えました。月々の保険料を3年間貯めれば、それなりの金額になります。

パートで月15万円ほどの収入。「自分の保険」と「息子の高校受験」のどちらを優先するかと聞かれたら、迷わず息子を選んだんです。

正直に言うと、解約のハンコを押した瞬間、少しだけ「大丈夫かな…」という不安はよぎりました。でも、子どもの今を支えることの方が、見えない将来のリスクより大事だと、自分に言い聞かせて手続きを進めました。

これは、多くのお母さんが同じ選択をしているんじゃないかと思います。自分の備えより、子どもの今を優先する。母親としては自然な気持ちなんですよね。

そして、その解約からちょうど6ヶ月後、乳がんが見つかったんです。

これが、私が「もし時間を戻せるなら6ヶ月前に戻りたい」と言う理由です。

息子の受験は、第一志望には届きませんでした。でも今、別の高校に楽しそうに通っています。友達と笑いながら学校の話をしてくれる息子の姿を見ていると、結果は違ったけど、ここに辿り着いたことには意味があったんだなと思えるんです。

「私が保険を解約してまで支えたかった受験」は、思い描いた形にはならなかった。それでも、息子の今の笑顔は確かにここにある。だから、息子のために動いたあの時の選択そのものを後悔しているわけじゃないんです。

ただ——医療保険を解約するという「方法」は、別の選択肢があったかもしれない。そう思うんです。

② 「自分ががんになるなんて」と思っていなかった

健康診断はちゃんと受けていたし、家族にもがんになった人は身近にいませんでした。なんとなく「自分は大丈夫」って、根拠のない自信があったんです。

これは多くの人が同じだと思います。誰もが「自分が当事者になる日」を本当に想定して生きてはいないんですよね。


医療保険なしで乳がんになった日

2023年9月、健康診断で乳がんの疑い。10月に大学病院で精密検査。10月25日、告知。

告知の帰り道、夫に電話しながら泣きました。「がんだった」と伝えるのと同時に、「保険入ってないの、どうしよう」が口から出ていました。

その夜、家でPCに向かって調べた言葉が、

  • 「乳がん 治療費」
  • 「医療保険なし がん 大丈夫?」
  • 「高額療養費制度 仕組み」

検索すれば検索するほど、不安と希望が混ざってよくわからなくなりました。「数十万円かかる」という記事も、「保険なくてもなんとかなる」という記事もあって、どっちが本当なのか自分の状況に当てはまるのかが見えなかったんです。


実際にかかった医療費を全公開(2.5年分)

結論から書きます。2023年9月から2026年3月までの2年半で、自己負担した医療費は合計約75万円でした。

年別の自己負担額

期間内容自己負担額
2023年9〜12月検査・手術・入院約20万円
2024年(1年間)抗がん剤8クール・通院約45万円
2025年(1年間)ホルモン療法・定期検診約8万円
2026年1〜3月定期検診約2万円
合計約75万円

※差額ベッド代・食事代を含みます

▶ 詳しい月別の内訳はこちら:乳がん治療費は月いくら?医療保険なし・国保だけで実際にかかった月々の費用

この金額をどう感じるか

75万円というのは、

  • 一気に払えと言われたら、ちょっと厳しい
  • でも2年半に分散されたら、月平均で2.5万円くらい

という金額です。告知時に想像していた「100万、200万」よりは、はるかに少なくて済みました。


医療保険なしで乗り切れた一番の理由=高額療養費制度

実は、自己負担を75万円に抑えてくれたのは、私の頑張りでも運でもなく、国の制度でした。

「高額療養費制度」というもので、健康保険に入っている人なら誰でも使えます。会社員でも、自営業でも、私のような国保のパート主婦でも、同じです。

月の自己負担に上限がある

私のような区分(年収約370万円以下のエ区分)の場合、

  • 1ヶ月の自己負担上限:57,600円
  • 過去12ヶ月で4回以上上限に達したら、4回目以降は 44,400円(多数該当)

つまり、医療費がいくら高額でも、月の窓口負担は57,600円より上には行かないんです。これを知った時、初めて「なんとかなるかも」と思えました。

抗がん剤治療に入ってから、私は何ヶ月も連続で上限に達していました。でも4回目以降は自動的に44,400円に下がっていて、明細を見るたび「制度に守られてる」と感じたんです。

▶ 詳しくはこちら:限度額認定証のもらい方|乳がん入院前2週間にやるべき手続き


医療保険なしで一番つらかったこと=収入減

ここが、医療保険なしで治療する人が一番見落としやすい部分だと思います。

手術前日から1ヶ月、まったく働けませんでした

私は手術の前日から、ちょうど1ヶ月パートを休みました。手術後の経過観察、退院後の通院、体力の回復…どう考えても働ける状態ではなかったんです。

パートだったので、休んだ期間の収入はそのままゼロになりました。月15万円が、まるごと一ヶ月分消えたということです。

傷病手当金は対象外でした

会社員の方なら「傷病手当金」という、休んでいる間の収入の3分の2を健康保険から受け取れる制度があります。でも、これは健康保険組合や協会けんぽに加入している人向けで、国民健康保険のパート主婦だった私は対象外だったんです。

「治療費が安く済んでも、生活費の方がじわじわきつい」というのが、医療保険なしで治療する人にとってのリアルな現実でした。

お金の話を整理すると

  • 治療費の自己負担:約75万円(2.5年で)
  • 治療で減った収入:少なくとも15万円(手術期の1ヶ月分のみ)

実は治療費そのものより、収入減のダメージの方が即効性があったんです。家計簿をつけながら、何度もため息をつきました。


今、時間を戻せるなら医療保険に入っておきたい?

ずっと考えてきた問いです。私の答えは、

「保険を解約した6ヶ月前に戻れるなら、解約しなかった。でも、医療費自体は予想より安かった」

この、矛盾しているような気持ちこそが本音です。

解約のハンコを押したあの日に戻れるなら、私は息子の受験を別の方法で乗り切る道を探したと思います。医療保険を解約しないまま、なんとかやりくりする方法が、きっとあったはずなんです。

「入っておきたかった」と思う理由

  • 告知された瞬間の経済的な絶望感を、味わわなくて済んだはず
  • 入院給付金や手術給付金で、休職中の生活費が補填できた
  • 「これでなんとかなる」という心の余裕が、治療への向き合い方を変えていたかもしれない

「でも、予想よりは安かった」と思う理由

  • 高額療養費制度のおかげで、月の負担は57,600円が天井
  • 抗がん剤期は44,400円まで下がる多数該当に救われた
  • 結果として、治療費の自己負担は2.5年で75万円
  • 月平均すると2.5万円程度

つまり、

「保険なしでも経済的に破綻はしなかった。でも、心の余裕がもう少し欲しかった」

これが私の偽らざる気持ちなんです。

「医療保険なしでも大丈夫」とは言いません。でも「絶対に必要」とも言い切れない。人それぞれの状況で答えが違うとしか言えないのが、実体験を経た正直なところです。

私なりに出した「保険が必要かどうか」の判断基準

2.5年間、自分の家計と向き合いながら出した結論があります。

「医療費として100万円の貯金があるなら、医療保険に入らなくてもいい。貯金がなければ、入った方がいい」

理由はシンプルです。

私の場合、治療費の自己負担は2.5年で約75万円。これに収入減や差額ベッド代などの予備費を含めて考えると、100万円が手元にあれば、医療保険なしでも経済的にはなんとかなる水準なんです。

逆に、

  • 100万円の貯金がない方
  • 治療中の収入減を補えるだけの蓄えがない方

そういう方は、医療保険・がん保険・就業不能保険のどれかに入っておいた方が安心だと、私は経験から強く思います。

「保険料がもったいない」と思う気持ちはすごくわかります。でも、告知された日の絶望感を1人でも減らすために、自分の貯金額と相談して判断してもらえると嬉しいです。


医療保険なしで治療に入る方へ|まず動いてほしい3つのこと

もし今、医療保険に入っていない状態で治療に入る方がいたら、まずこれだけは動いてほしい、ということをまとめます。

① 限度額認定証を申請する

これが一番効きます。事前に申請しておけば、病院の窓口で限度額以上を払わずに済むので、立て替えが発生しません。

国保なら市区町村役場、会社員なら健康保険組合や協会けんぽに申請。私の場合は約2週間で郵送されてきました。

▶ 詳しい手順:限度額認定証のもらい方|乳がん入院前2週間にやるべき手続き

② 「多数該当」を頭に入れておく

抗がん剤治療など、長期で毎月のように上限に達する治療になる場合、4回目以降は自己負担がさらに下がります。これを知っているかどうかで、治療中の不安がだいぶ違ってきます。

③ 自治体の助成制度を調べる

市区町村によっては、がん患者向けの医療費助成や見舞金、ウィッグ購入補助などの独自制度があります。役所の福祉課や保健センターで相談すると、思わぬ制度が見つかることがあります。


これから備えを考える方へ

私のように告知されてから「入っておけば…」と後悔する前に、まだ健康なうちに動ける方は、ぜひ動いてください。

がん保険・医療保険を見直す

  • がん保険:診断時の一時金や、長期通院時の給付金が手厚いタイプ
  • 医療保険:入院給付金・手術給付金で広くカバーするタイプ
  • 就業不能保険:私が一番欲しかったかもしれないもの。働けない期間の収入を補填

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まとめ

  • 医療保険なしで乳がんに:自己負担は2.5年で約75万円
  • 治療費を抑えてくれた一番の理由は高額療養費制度(月57,600円が上限/4回目以降44,400円)
  • 一番つらかったのは収入減(手術期の1ヶ月で月15万円分の損失)
  • 「もう一度選べるなら?」の答えは「保険を解約した6ヶ月前に戻りたい。でも医療費自体は予想より安かった」
  • 私が出した判断基準:「医療費として100万円の貯金があれば保険なしでもOK。貯金がなければ入った方が良い」

医療保険に入っていなくても、制度を知っているだけで結果は大きく変わります。そして、今健康な方には、ぜひ「自分が当事者になる日」を少しだけ想像して、備えを考えてみてもらえると嬉しいです。

私のような後悔を、ひとりでも減らすために。


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やたがらす
やたがらす
時給1200円パート主婦52歳
2023年10月『乳がん』告知 浸潤性小葉がん 国民健康保険のみ 2023年12月右胸全摘+同時再建 ステージⅠ(しこり2㎝) ホルモン受容体陽性 再発スコア(RS)39 2024年5月~9月 抗がん剤治療8クール完走 (ddEC④+ddパクリタキセル④) 頭皮冷却装置PAXMAN使用 ホルモン剤レトロゾール2.5服用中 入院中にブログを立ち上げると決意 乳がんに実際にかかった費用「乳がん家計簿」と「乳がんの疑い~手術」「手術後~抗がん剤治療」を時系列に公開中
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